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古代より海藻を食べていた日本では、季節になると各地の浜辺で海藻を刈ったり、海藻を焼いて塩を取る風景が見られ、その様子は万葉集にも多く詠まれています。海藻をモチーフにした万葉集は全部で86首にも及びます。今回は、ワカメなどの海藻は男性が女性について詠んだ歌によく使われており、なんと恋の歌のモチーフとしても登場していた、というお話です。
山部赤人(やまべのあかひと)は「潮干(しおひ)なば玉藻(たまも)刈りつめ家の妹(いも)が 浜づと乞はば何を示さむ」(潮がひいたら玉藻を刈り集めなさい。家の嫁が浜の土産をおねだりしたら、何をあげればよいか分からないでしょうから)と、海藻は奥さんへのよいお土産になるよ、と詠んでいます。
当時、浜辺で海藻を刈ったり拾い集めていた「海人(あま)」の様子を詠み込んだ歌も多く、例えば、「玉藻(たまも)刈る海人少女(あまおとめ)ども見にゆかむ 船かじもがも波高くとも」には、浜でせっせと働く美しい少女達をぜひとも見に行きたいという男達の大らかな気持ちが詠われています。
ちなみに、上に出てきている「玉藻(たまも)」とは、特定の海藻の名ではなく、生活に役立つ海藻を総称して呼んだ名前だそうです。また「玉藻(たまも)」という言葉の美しさから、海藻を美しく表現するときに、使った表現だとも言われています。
「稚海藻(わかめ)」あるいは「和海藻(にぎめ)」と呼ばれたワカメを詠んだ歌では、「角(つの)島の迫門(せと)の稚海藻(わかめ)は人のむた 荒かりしかどわがとは和海藻(にぎめ)」があります。潮の流れが激しい角島の迫門(瀬戸)のワカメは取るのがとても難しいが、ここでは海女を稚海藻にたとえ、「ふつうは人になびかないが、私には和海藻のようになびいてくれる」と詠まれています。
海藻と恋心、現代ではなかなか連想できないものですが、昔は海女への恋心を表すロマンチックな象徴だったようですね。
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